RSプロダクツが製作するビンテージクラスターは「各リング同士の間隔が空いた『M2-1001風』のメーターパネルがほしい」というあるオーナーさんからのリクエストで開発を始めました。当該オーナーは既にK.G.Works社製・クラシックメーターパネルを愛用しており「あの意匠や風合いはそのままに、リング部分やパイロットランプ部分をブラッシュアップしたもの」を求めておられました。ですからこの製品は「K.G.Works社製・クラシックメーターパネル」と意匠面や基本構造が同じです。ご存知の通り、K.G.Works社はロードスターのアフターマーケット黎明期からの老舗であり、旧車への造詣が深く、またモディファイのセンスに長けた北川隆和社長のブランドです。そのK.G.Works社のウェブサイトには、長年「コピー品」の存在に悩まされてきたという経緯や、コピー品廃絶へのポリシーに関してが明記されています。実は2008年の本製品(ビンテージメーターパネル)製作時、ワンオフに近い少量限定生産品というスタイルから、K.G.Works社の北川社長へのアナウンスは行っておりませんでした。「K.G.Works社製・クラシックメーターパネルのブラッシュアップ品であること、またコダワリの強いオーナーのリクエストに応えるためだというRSプロダクツの意向を事前に説明し、例外的に許諾を受けてから販売するべきだった」という後悔がございました。これは「道義的」な問題であることを皆様ご理解頂けると思います。しかしながらこの数年の間に当製品に対する再販リクエストは後を絶たず、再販できない理由の真相を説明するのに苦労してきました。再販をお望みの多くのオーナー様向けに「数量限定」での製作に際し、ガラス入りリング部分の製作をお願いするという経緯から北川社長との話し合いを持ちました。この製品の存在自体をご存知なかった北川社長は当初「不快の意」を述べられました。「KG製品を取り扱って頂いているRSさんがどうしてまたこんなものを」とも。NAオーナーの強いリクエストがあったこと、またRSプロダクツとしても道義的な後目痛さがありながらも全身全霊を懸けて拘って製作する製品であることを説明した上で、「ユーザーを混乱させない」ための表記をサイト内で明記することを条件に北川社長は製造・販売に関し許諾して下さいました。「マーケットを食う・食われる」という小さい見地からではなく、「ユーザーを混乱させたくないという考え」・「コピー品廃絶への確固たるポリシー」を最優先にお考えになる北川社長の「義を重んじる」姿勢にすっかり心を打たれました。同時に、本来ならメーカーと販社という立場から「取引停止」にもなりかねないような非礼に対し、RSプロダクツの見解に耳を傾けて頂いた上で許諾下さった寛大さに心より感謝申し上げます。
基本構造や、警告灯類の配置・印刷表記はほぼ同じですが、本製品はクラシックメーターパネルとは違いタコメーター・スピードメーターの径が小さく、別売りの「NA用クラシックゲージパネルTYPE-RS /Smith Ver.II」を同時装着する必要があります。また、K.G.Works社製「クラシックメーターパネル」は純正メーターパネルを加工して使用しており、アッセンブリー交換が可能ですが、本製品は純正メーターパネルをオーナー様ご自身で加工・装着して頂く必要がございます。
上記までが2012年頃のお話です。そして時は流れ2020年。ビンテージクラスターの再生産にあたり私は大きなミスを犯していた事に気がつきます。それは、サイト刷新の際にこの一連の経緯についての記述を転載することを失念していて、数年ぶりに頂戴した北川社長からの問い合わせでそれを知ったという失態を重ねてしましました。私のことを「職人」として認めてくださっていた北川社長でしたが、私は氏をまたもや失望させてしまったのです。
今回、当時の経緯を再掲載する事をお約束し北川社長は再度寛容なご対応をしてくださいました。ロードスターを愛する同士として、同じ職人魂を持つ男として認めてくださった北川社長に対し心より感謝するとともに、何よりもまず大切な「道義」について今一度想いを巡らせるべく襟を正します。
北川隆和社長とKGワークスブランドへの敬意と感謝を込めて。
2020年12月25日 RSプロダクツ代表・畠中淳