旧仕様のメインパネルは2mm厚のスチール製で、表面にはシボ感が荒めの結晶塗装(チヂミ塗装)を施しておりました。風合いは抜群なのですが、シルク印刷によるレタリングがシボによってガタつくという弊害があり、今回の新仕様(M2タイプ・ビンテージクラスター)においてはシボ感を抑え気味にしたチヂミ塗装としています。光沢も全くのマットではなく半ツヤとしています。
板厚1mm+3mmの2枚構造です。これは先に解説したクロームリングとインナーパネル、後述のアクリルレンズを固定するために採った方法で、旧仕様の前期モデルでみられた「振動によるガラス脱落の可能性」を未然に防ぐ構造を有しています。本製品のズシリとした重厚感はこのメインパネルによるところが大きいのですが、二枚構造にすることによるアッセンブリーの手間・歩留まり率、そしてコスト面の負担はなかなかのものです。インナーパネルの仕様さえ諦めればこれらは解消される問題でしたが、どうしてもインナーパネルを実現させたかったためここでも身を切る策を選んだのです(多くのファンに支えられながらも、いつまで経っても経済的大成功を手にできないRSプロダクツの内幕がこんなところからも垣間見えますね。でもいいんです、それで。こんなお馬鹿なメーカーが1社くらいあってもいいじゃないですか)。
旧仕様に比べると平滑度の増したこのメインパネルに乗る印刷はご覧の通りとてもシャープです。最新のレーザー刻印などに比べれば当然のことながら劣りますが、RSプロダクツが追究するヒストリックカーのインパネ群に採用されていたのはみなこのような味のあるホワイトレタリング。漆黒のメインパネルに映えるこれら文字群から、RSプロダクツの信念を感じ取って頂けるでしょうか。
また、旧仕様からの変更点としてはウインカーの矢印マークの意匠が挙げられます。もうお気付きかもしれませんが、M2用メーターのあの意匠をモチーフに最適化しています。平滑度が増したとはいえ、やはりチヂミ塗装に対しては「塗り潰してしまう」ほうがうんと安心ではあります。ただ、今回の製品名を「M2タイプ・ビンテージクラスター」とするにあたってはどうしても外せないポイントの一つであるため、コストアップ覚悟で上質のシルクスクリーン印刷を奢ることと致しました。